お知らせ

文部科学省委託「専修学校による地域産業中核的人材養成事業」事業成果報告

一般財団法人福祉教育支援協会
代表理事 最上 義
実施委員長 引地 達也

文部科学省委託「専修学校による地域産業中核的人材養成事業」において3カ年にわたり実施した
『障害者に関わる方のための障害者のライフステージに寄り添う地域サポーターの育成事業』の事業成果を公開いたします。
【令和2年度 専修学校による地域産業中核的人材養成事業】成果報告書(PDF:4.6MB) 
【令和元年度 専修学校による地域産業中核的人材養成事業】成果報告書(PDF:7.3MB)
【平成30年度 専修学校による地域産業中核的人材養成事業】成果報告書(PDF:1.3MB)
事業の初年度に行った調査では、福祉支援の領域で働く方の多くが、それぞれの極めて専門的な経験と知識を深めてはいくものの、その広がりという面では非常に乏しくなってしまう状況が指摘された。福祉サービスの中に置かれた方がその可能性を広げて豊かな人生を過ごすには、支援者の側にも豊かな対応を可能とさせるべく幅広い知識や素養が必要であると考えられます。

本事業では、障害者のライフステージを見据え、働きがいから生きがいまでをカバーできる福祉支援者の育成をイメージして、「福祉学」「教育学」「社会学」からなるモデル教育プログラムを開発し実証研究を行いました。
福祉学1 福祉概論 講師:金子毅司
学習目標:福祉の基本を再確認し福祉の「深さ」を追究するきっかけとする
◎考えるきっかけ
◎3つのルール
◎当事者が決める
◎バイスティックの7原則 意図的な感情表出
◎バイスティックの7原則 受容/非審判的態度
◎バイスティックの7原則 自己決定
◎ある放火事件の記事から考える
◎迷うのが仕事である
◎福祉とは何か
◎バイスティックの7原則 個別化
◎バイスティックの7原則 統制された情緒的関与
◎バイスティックの7原則 秘密保持
◎生活モデル
福祉学2 精神系デイケアと社会移行支援 講師:金子毅司
学習目標:精神科デイケアの考え方と具体的プログラムについて学ぶ
◎地域移行の「精神障害者」
◎ひとり親への支援
◎精神科病院での虐待
◎施設コンフリクト
◎依存浅い健常者
◎困ったと言える社会
◎原点は「楽しみたい」「よい暮らしをしたい」
◎メンタルヘルスで範囲拡大
◎この国に生まれた不幸
◎社会的入院
◎自立とは何か
◎ストレングス視点
◎共生社会に向けて
福祉学3 特別支援教育 講師:青木猛正
学習目標:特別支援教育を考え、その在り方を話し合える素地を養う
◎特別支援教育とは
◎特別支援教育体制の整備
◎教育活動を行う際の留意事項
◎特別支援教育の現状―特別支援教育機関の種別
◎特別支援教育の教育課程―各学校種の構成領域に準ずる
◎自立活動の実践例―積み木を3個積み上げる
◎自立活動の実践例―その他障害種に応じて
◎領域・教科を合わせた指導―遊びの指導、生活単元学習、作業学習
◎障害種別における合理的配慮―聴覚障害
◎障害種別における合理的配慮―肢体不自由
◎障害種別における合理的配慮―言語障害
◎障害種別における合理的配慮―学習障害
◎障害種別における合理的配慮―全般的な合理的配慮例
◎インクルーシブ教育に必要な要件
◎インクルーシブ教育―交流及び共同学習の実践例
◎インクルーシブ教育―特別なニーズのある児童生徒
◎新聞の投書―障害とは何か
◎特別支援教育の理念
◎特別支援学校の役割
◎特別支援教育の現状―教育基本法と学校教育法
◎特別支援教育の現状―在籍者数の変化
◎特別支援教育の教育課程―自立活動の趣旨
◎自立活動の実践例―ぼくのわたしの将来の夢「おおきくなるよゲーム」
◎領域・教科を合わせた指導
◎障害種別における合理的配慮―視覚障害
◎障害種別における合理的配慮―知的障害
◎障害種別における合理的配慮―病弱
◎障害種別における合理的配慮―自閉症、精神障害
◎障害種別における合理的配慮―注意欠如・多動性障害
◎インクルーシブ教育とは
◎インクルーシブ教育―交流および共同学習とは―
◎インクルーシブ教育―共生社会に向けて
◎障害者雇用の状況  
福祉学4 福祉政策 講師:渋谷宏明
学習目標:福祉を成り立たせている政策決定のプロセスを理解する
◎はじめに
◎措置制度の時代
◎在宅福祉サービスの戦略
◎契約制度の時代
◎全国社会福祉協議会
◎イギリスの制度の在宅福祉制度の転換
◎2000年、地域福祉の時代
◎ニーデイオリエンテッドからニードオリエンテッドの時代へ
福祉学5 重度障がい者への支援 講師:渡邊陽介
学習目標:身体障がい者への深い理解に向けての素地を養う
◎あいさつ
◎バリアフリーとユニバーサルデザイン
◎障害者支援の変遷 
◎障害者福祉の経過
◎障害者の地域生活事例
◎障害のある方の地域生活を支援する
教育学1 教育学領域 講師:渡辺忠温
学習目標:教育の原理はじめ教育が大切にするべきことの基本を習得する
◎4つの課題
◎ボーイフレンドの家庭教師
◎親子関係は綱引き
◎学歴への信頼
◎ルソーの「関わらない」
◎教育関係論とは何か
◎2者関係だけではない教育
◎絶対的関係ではない「教える」「学ぶ」
◎教育虐待とは何か
◎「毒親」「タイガー・マザー」
◎18世紀から子供は保護対象
◎助けるか、助けないか
◎ロックの「関わる」
◎2つの方向が両方を向く
◎積極・消極・両方
教育学2 特別支援教育・発達障害教育 講師:下川和洋
学習目標:特別支援教育の歴史的変遷と考え方の基本、発達障害に関する昨今のトレンドを理解する
◎付箋紙を用意
◎特別支援学校の就学基準
◎聴覚障害
◎肢体不自由
◎言語障害
◎学習障害
◎デジタル教科書、ICT機器の活用
◎最後に
◎特別支援教育の対象
◎視覚障害
◎知的障害
◎病弱・身体虚弱
◎特別支援教育-発達障害とは
◎特別支援教育と特別ニーズ教育と新学習指導要領
◎障害や困難に対する合理的配慮-インクルーシブ教育に向けて
教育学3 発達心理学 講師:山本登志哉
学習目標:「発達心理学」の概要を理解する
◎見えている世界が「違う」
◎子供のお小遣いの考察
◎当たり前の世界とは
◎アスペルガーの場合
◎視覚の余剰
◎共感のポイントが違うだけ
◎一緒に生きていく道を探る
◎見え方の「ずれ」
◎なぜ違いは生まれるのか
◎発達障がいの生きづらさ
◎ディスコミュニケーションから考える
◎拡張された媒介構造
◎二次障がいを考える  
教育学4 教育の歴史(世界) 講師:渡辺忠温
学習目標:教育を世界の歴史から見ることで巨視的な視点を養う
◎今日の教育・学校のあり方を違った視点からとらえる
◎学校の歴史
◎学級の歴史
◎全体のまとめ
◎17世紀から19世紀ヨーロッパの概観
◎義務教育と教科書の歴史
◎試験の歴史
教育学5 教育の歴史(日本) 講師:渡辺忠温
学習目標:教育が日本でどのように発展し、今の形になったのかを知る
◎教育における入学試験の重要性
◎日本における試験の歴史:明治から戦前まで
◎日本における試験の歴史:全体のまとめ
◎日本における試験の歴史:江戸時代まで
◎日本における試験の歴史:戦後から現代まで
社会学1 社会学概論 講師:田中 瑛
学習目標:福祉から広く社会に目を向けて、社会の成り立ちを認識できること
◎はじめに
◎私のアイデンティティと役割
◎役割が秩序と差別を生み出す
◎福祉国家を通じて作用する権力
◎「主観」に寄り添う
◎失われた会社・家庭・教育の循環
◎コミュニティを取り戻す
◎なぜ「社会」を考えるのか?
◎私のアイデンティティと役割
◎「常識」を疑う
◎ 社会階層の再生産
◎「大きな物語」の終焉
◎社会を変えていくための「政治」
◎補足:「感情労働」
社会学2 コミュニケーション演習Ⅰ 講師:田中 瑛
学習目標:混在化しがちなコミュニケーションの機能と役割を多角的にとらえ、正しく使うことを習得する
◎重要なメディア
◎複雑化するメディアを理解する
◎ソーシャルメディア時代のアイデンティティ
◎商品化されるコミュニケーション
◎暴走する感情、大きくなる声
◎AIの限界と統計的差別
◎総括:新しい技術の良し悪し
◎私達はメディアを通じて現実を認識する
◎断片化するメディア環境
◎SNS上にあふれる「共感」
◎SNSの特徴
◎パーソナルな情報を売って、快適さを得る
◎政治とAI・ソーシャルメディア
社会学3 地域形成と政策決定 講師: 引地達也
学習目標:地域コミュニティの成り立ちや政策決定のプロセスの習得
◎プログラムの前提
◎現状の福祉的課題
◎課題は解決への道筋
◎行政と議会
◎法律の優先順位
◎相馬事件と社会のスティグマ
◎スティグマのマトリックス
◎タコツボ化から抜け出す
◎社会モデルのメインプレーヤー
◎コミュニティを見る方法
◎地方分権とは何か
◎明治初期の精神疾患と森有礼
◎ライシャワー事件のインパクト
◎ケアの問い直し
社会学4 コミュニケーション演習Ⅱ 講師: 山本登志哉
学習目標:ソーシャルメディアの現状と今後をはじめとしたさまざまなツールによるコミュニケーション世界を理解したうえで、メディアなどの情報ツールについても深い認識に立てる素地を養う
◎異質さを前提に
◎子どもをわかっているか?
◎教える側と教えられる側
◎見える差と見えない差
◎子どものおもちゃに名前を書く
◎AさんもCさんも納得できる理由
◎群馬県の学校の先生の意見
◎中国朝鮮族の高2の男子
◎悩んでいる友達をどうする?
◎文化がぶつかり合う形
◎調整の仕方は一つではない
◎調整法は文化によって違う
◎これはなんでしょう?
◎知的の組み合わせ
◎ 違う理解を持つもの同士の探り合い
◎ピアスの是非
◎Aさんは当然、Cさんはおかしいの理由
◎子どものお小遣いの使い方
◎ソウルの小3の男子の考え方
◎ショックを受けた回答
◎二つの考え方
◎EMSの基本構造
◎文化が違うと相手のやり方が「悪」に見える
◎自分の常識で理解できない人たち
社会学5 福祉 -教育と経済- 講師: 引地達也
学習目標:資本主義経済の中での福祉と教育を正確にとらえる
◎プロローグ
◎経営の原則
◎映画から見る障害者と経済
◎文科相のメッセージとその可能性
◎社会保障費増加の背景
◎経済活動とサービス提供
◎ 3つの言葉と心の土壌
受講生はA4で1ページほどのレポートを提出、学びの習得度合いを観察する。講師も振り返りのミーティング及び聞き取り調査で運用のしやすさや妥当性などを協議する。
このレポートは、カリキュラムの有効性・改善事項等を総合的に評価するポイントであり、講師との事後評価も協議し、これらをもとに各教科のカリキュラム開発を実施した。